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熊本地方裁判所 昭和56年(行ク)10号 決定

熊本市坪井二丁目二番四二号ニュー広町ビル二階三号室

申立人

天下一家の会、第一相互経済研究所こと

内村健一破産管財人弁護士

福田政雄

下光軍二

稲村五男

右の者から当庁昭和五三年(行ウ)第七号贈与税所得税課税処分取消請求事件(当事者は別紙のとおり)につき、参加の申立があったので当裁判所は次のとおり決定する。

主文

本件参加の申立を却下する。

理由

一  申立の趣旨及び理由

別紙のとおり。

二  当裁判所の判断

行政事件訴訟法第二二条一項による参加は、同条にいう「訴訟の結果により権利を害される第三者」にのみ許されるものである。

ところで本条による参加は、行政事件訴訟法による取消訴訟においては被告適格を処分庁に法定する一方、取消判決は第三者にも効力を及ぼすものとされるため、被告適格はないが、取消判決により権利を害される第三者を訴訟手続に関与させ、その権利保護を可能ならしめるための制度と解することができる。

従って本条により参加しうる第三者とは、被告側に立って係争の処分又は裁決を維持するため訴訟行為をなす者でなくてはならない。

しかるに申立人の主張は、係争処分が違法であって取消されるべきであるというものであり、申立人は係争処分の維持よりも、むしろその取消されることに利益を有するものと解さざるを得ない。

とするならば、申立人が本条にいう「訴訟の結果により権利を害される第三者」に該当しないことは明らかであり、本件申立は不適法であるので主文のとおり決定する。

(裁判長裁判官 弘重一明 裁判官 吉武克洋 裁判官 丸地明子)

当事者目録

熊本市本山町六三五

原告(被参加人) 天下一家の会、第一相互経済研究所

右代表者 内村健一

熊本市二の丸一番四号

被告(被参加人) 熊本西税務署長

参加の趣旨

右原告と被告との間の貴庁昭和五三年(行ウ)第七号贈与税所得税課税処分取消請求事件について、参加人は行政事件訴訟法二二条により右訴訟に参加する。

参加の理由

一 原告は被告に対しいわゆる贈与税所得税課税処分取消請求の訴えを提起し、目下貴庁昭和五三年(行ウ)第七号事件として民事第二部に係属中である。

二 参加人らは、熊本地方裁判所から昭和五五年二月二〇日破産者天下一家の会、第一相互経済研究所こと内村健一の破産管財人に選任せられ、以来破産業務に従事している。

三 ところで、原告は、右破産者そのものであって破産者と別個独立の人格なき社団ではない。よって、被告が原告を人格なき社団として贈与税を課したのは違法で取消されるべきである。

四 右の次第であるので、贈与税課税処分の取消を求め本参加に及んだものである。

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